トランス/リアル - 非実体的美術の可能性 vol.3 末永史尚・八重樫ゆい

トランス/リアル - 非実体的美術の可能性 vol.3 末永史尚・八重樫ゆい
Trans / Real: The Potential of Intangible Art vol.3 Fuminao SUENAGA・Yui YAEGASHI
2016年 7月16日(土)~8月27日(土) 夏期休廊:8月7日ー8月15日
11:00~19:00 日月祝休 入場無料
〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11アガタ竹澤ビルB1F
www.gallery-alpham.com

八重樫ゆいさんの作品を初めて拝見したのは、2014年に東京オペラシティーアートギャラリーで催されていた「絵画の在りか」にて。作品ビジュアルには一貫性があり、かつ不思議と言葉にできない印象が記憶として残る。

現物を見れば理解は早いのだけど、色を塗る工程に計画性を強く感じ、
その作業工程が完成後にも表層からわかるように制作されている。

さて彼女の作品、相変わらず良かった。
特に小作品が良い。未確認だが、小作品はあまり見かけないサイズ感であるように思う。号数とかじゃなくて、支持体の大きさにあえてばらつきをもたせ、
その大きさに適切な大きさのモチーフを描く、ように。

色彩で言えば、イエローとブルーが綺麗だったなぁ。
彩度の高い色が沈んだ色に覆い隠されて、
雲の切れ間からやっと見える、青空のような。
日常生活を切り取った風景写真のような印象さえある。

一部、ペインティングナイフで平にならされていた形成も見受けられた。
絵具の表層、表面的な質感はやはり注視されていることだろう。
それにしても、八重樫さんの作品はサイズ感もあるけど、所有欲をくすぐる。
プライスの表記が見当たらなかったからあえて聞かなかったけど。

そして末永史尚さんの作品。
八重樫さんとは対照的に、具体的なモチーフの装いをした作品群だった。
一番良かったのは、付箋を模した作品。ちょうど仕事で全く色の付箋使ってるのでにやにやした。この作品は蛍光色•特色の付箋を模している。
市販されているラインマーカーも、その用途から蛍光色•特色が積極的に用いられているのだろうと思う。自然界から逸脱した、警告する色、特別な色。だから特に良いと思ったのかも。

他にも壁に貼付けになった消しゴムを模した作品、雑巾、コピー用紙など、
ギャラリー施設内の本棚スペースと同化するように、展示されていた。

しかし全体的に塗りに対する意識が甘い印象を受けた。
具体的なモチーフから要素を削ぎ落とし作り上げたシンプルな情報と装い。
鑑賞者はその形と色、質感を便りに記憶を掘り返し、対象を認識することになるのだと思うのだけど。(正確には作品リストでもわかる)

だとしたらもっと外面的特徴へのこだわりがあって良いのではないかと。
やる•やらない じゃなくて 至る•至らない 的なレベルの話で、
そこはテーマ性からも、突っ込まれやすいんじゃないかと思った。
極端な話、再現性が低すぎる作品であったら、これ○○ですと言われても、わかりませんってなる。消しゴムを模した作品は正直、それに近かった。
原因はそれだけでなく、パッケージのイメージ。
恐らくMONO消しゴムがモチーフの一つにあったのだろうけど、ジェネレーションギャップというか、今の学生はMONO消しゴム使ってるのだろうか?とか。消しゴムというよりも「MONO消しゴム」を作ってる感じ。
パッケージが無ければ、消しゴムであることさえわからなかったはず。
だからこそ、付箋を模した作品の方が優れていると思う。

あとはキャンバスを模した絵画作品。鑑賞者が立つであろう側にはキャンバスの裏側(木枠)を向け、壁側に描画面を向ける。そして壁にななめにかけることで、裏面をちら見させる。裏面は彩度の高い色をべた塗り。ホワイトキューブに飾れば、反射で周囲にも色が拡散して、程よい自己PRにもなる。
これは木枠の塗り(表現)が綺麗だった。

しかし、このキャンバスを模した作品であれ?って思ったのが1点ある。
変な位置に絵具の垂れがあったのだ。
恐らく、このような作品を制作するには、木枠を組み、キャンバス地を張るように、実際にモノを組み上げるプロセスに沿って、描画を進めるのが適切だと思うのだけど。
まるでキャンバス地に小さな穴があってそこから大量の絵具が流れ出るみたいな、違和感ある垂れ。その違和感が重要だとすれば、ほぅっとなるのだけど。
しかし、もう1点のキャンバスを模した作品の側面、そこにある垂れを見ると、妙な違和感。垂れが発生する場所は良いのだけど、垂れ方、その軌跡にあれ?っとなった。自然発生したというよりも描かれた「垂れ」のように見えたのである。しかしそう見えただけであって、事実は不明。

前述の通り、八重樫さんは塗りに計画性を感じさせる作品をおつくりになる。
その脇にある末永さんの作品ということで、そのあたりが気になった。

しかし一つの展示会として楽しめたし、
だから二人の作家の対比をもって楽しめた。
良いキュレーションだった。

あと受付のスタッフさんの笑顔が素敵だった。
こういうスタッフさんが居るギャラリーはまた来たくなる。
ありがとうございました。

 

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