キュンチョメ個展「暗闇でこんにちは」

キュンチョメ個展「暗闇でこんにちは」

戦争・テロ・災害・放射能、そして増え続ける難民・避難民。終わらない問題に追われ続ける2016年、世界各地の終わらない現場で制作された作品群を公開します。

会期:2016年8月27日(土)~9月24日(土)
水曜日~土曜日 15:00~20:00
日曜日・祝日 12:00~17:00
定休日:月曜日、火曜日(祝日オープン)
場所: 駒込倉庫 Komagome SOKO
東京都豊島区駒込2-14-2
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会場は今年オープンしたばかりという「駒込倉庫」
以前の建物の面影がふんだんに残っていた。
突き当たりにある資材運搬用のエレベータとか見ていると、
実家のバラックを思い出して懐かしい気持ちになった。

さてキュンチョメ氏の個展を拝見するのは実に2年ぶり。
新宿眼科画廊で開催された、個展「なにかにつながっている」以来である。

全ての作品を鑑賞し終えて、駅前の喫茶店で一服した上での感想。
「2年が経過してこれ?」

「なにかにつながっている」は個人的にも印象深い展示会であったが、
今回は良い意味での印象は残らなかった、というよりも、今までは作品上における荒さが良い意味で機能していたのに対して、今回は雑という印象で留まってしまったことによる。

まだ2年前はやろうとしていることが、少なくとも私個人は、不明瞭ながら実感としてお持ちなんだろうなという印象を持っていたが。今回はやりたいことのベクトルがあちらこちらに向いてしまい、一つの展示会としてのパワーを相殺している印象だった。

東日本大震災、広義の意味での難民問題、人類同士のコミュニケーション。
やはりもっと絞って欲しい、これは個人的な願いに過ぎないけど。
多くのことに興味を持ち、手を伸ばすのは勿論大切なことで尊重するけど、
どれもこれもが中途半端で終わってしまった、という想いである。

雑であると感じた大きな理由は、テーマを複数取り上げたことで、その雑さが大きく露呈し、また作品による主目的を果たすための障害になっていることも理由である。もっとこうすればいいのに、と小難しいことを考えずとも思うことが沢山あった。作品構築のプロセスが論理的ではなく、感情的、過ぎると言えば良いのか。

その押さえつけられぬ衝動や感情をそのまま吐露するのが、2年前として、
その衝動の温度が冷め、ちょっと冷静につくってみた、という印象。
熱量が無い。その雑さを鑑賞者に許容させてしまうだけの熱量が足りない。
行動力も賞賛するが、やはりそれにしても足りない、もちろん足がかりにはなるだろうが、それにしても傷跡を残すには非力。

あと今回の展示を見て感じたのは、キュンチョメ氏のアートワークにおける雑さってのは、鑑賞者側が感じとるキャラクター性、味になっているってこと。食事を例に出しても、大盛りとか刺激物とか、度が過ぎると不快だし、慣れすぎてもよくない。適切なバランス感覚の上でこそ許容すべきもの。
しかし現在まで、その雑さを逆手に取り(取られ)、コマーシャル的な側面としても、結果機能していたのかなと思った。意図のありなしに関わらず。
でもそれは作品の質や評価とは全く別次元の話であり、雑は雑として受け止めるべきであり、経歴を考えるとお粗末と言い換えられなくもない。

内容はぼかすが、会場での共同作業。この作品は何が目的だったのだろう。
正直、本を読めばいいと思った。作品に落とし込むことは、そうでもしないと、それくらいの刺激を与えないと気付かない人がいるから、ということか。原発事故問題を一つ取り上げても、作品自体及びキャプションが提示する情報は、具体性•情報が不足していると思う。本件は具体的な情報なくしては語れぬ事柄だと考える。ここでの抽象性は鑑賞者にとって都合良く解釈されるきっかけになってしまうだろうし、それは作家としても本意ではないと思うのだが。このあたり、ドキュメンタリーなのか、報道行為としての側面とか、作品としての殻を用いた方が効率的だからなのかは知らないが、結局、作家側のスタンスがわからないからかもしれない。
うーん、なんというか、キュンチョメ氏の作品が、どんどん、ゴールデンタイムのテレビ番組みたいに思えてきた。大衆性に富んできたというのか、その要素を蓄え続けているというか、いやそれでもいいのだけど、大多数に受けることは大切だから。明瞭さも大切だと思う。でも、自分が求めるものとは違うってだけの話。

エネルギーの観点から考えると、太陽エネルギーみたいな作家だなと思う。総エネルギー量は凄いのに、影響範囲が広く、密度が低い。
太陽エネルギーはソーラーパネルの価格がまだ高価だし、広範囲に機器を展開する必要があるから本格的な実用化には結びついていないとのことだが。より安価なシート状のパネルが開発されるなど、着実に実用化に向けて進んでいるとのこと。ようは総エネルギー量が多くとも、方法次第では有効利用できないってこと。

キュンチョメ氏、充分な熱量は感じられるし、まだ余裕が見える。ので、腰を据えてテーマを取捨選択し確固たる目的を見つけ出し、方法論を熟考し、制作すれば、2年前に味わうことができた、
あの心の揺れ動き以上の体験が叶うのにと思う。

なんやかんやいっても、気になる作家であることには変わりない。
是非、今後も作品を拝見したい。

※キュンチョメは、ホンマエリさんとナブチさんの男女ユニットであるが、
本文ではキュンチョメで統一しました。

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