トランス/リアル - 非実体的美術の可能性 vol.5 伊東篤宏・角田俊也

トランス/リアル - 非実体的美術の可能性 vol.5 伊東篤宏・角田俊也
Trans / Real: The Potential of Intangible Art vol.5 Atsuhiro ITO・Toshiya Tsunoda
2016年 10月29日(土)~12月3日(土)
11:00~19:00 日月祝休 入場無料

〒101-0031東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビルB1F
http://www.gallery-alpham.com

この空間がとても好きだ。すぐ横に位置するTARO NASUもそうだけど、
共に地下にギャラリースペースが埋まっている。
地下に進む、地面を掘り進んだ空間へ身を移す。
その行為が近くて、どこか遠い場所へ身を移す、貴重な手段であるように。

伊東篤宏氏の作品

蛍光灯を改良した音具「オプトロン」に触れたり、同様の機構を持った作品が展示されていた。あー、昔、Youtubeとかで見たことある!って思った。

上記写真のマシーンがアームを結構な勢いでぐるぐる回転させたり、
びかびか蛍光灯を光らせ、会場内で圧倒的な存在感を放っていた。
音はローランドの小型アンプで増幅させている様子だった。
とにかく、その造形が決まっていた。無骨なんだけど、
必要最低限+アルファの美的装飾、ってバランスが良い。

伊東篤宏・角田俊也展、始まりました! #artgallery #art #galleryαm #galleryalpham #soundart #伊東篤宏 #角田俊也

gallery αMさん(@gallery_alpham)が投稿した動画 –

スタッフの方にお願いすると「オプトロン」を試奏できるコーナーもあった。
私は試奏している様子を眺めているだけだったが、外見を眺めるだけでも、
こうやって音色、リズムパターンを変えてるのかってのがわかって面白い。

二つ前の写真に映っていた、アートボードに様々なガラクタを寄せ集めて構築されたメカニックなアート作品。数分置きにスイッチが入るのか、不思議な音楽を奏でる。
弱弱しく回転するモーターがバネを伸縮させたり、擦ったりして、
鳴き声みたいな音が響く。また、右手の作品はFM/AMラジオのパーツを取り込んでいるのか、混線状態のラジオ音声が前述の鳴き声と平行し、響く。
鳴き声との例えは、私個人の主観でしかなく、機器は電流を食べて、
与えられた動作を必死に繰り返そうとしているだけ。
余計なことは一切しない。
まだできること、もうできないこと、たりないこと。
それらがごっちゃになって、狭い場所に溶接されたり、縛られて、
結果、一つのオーケストラなんて構図に胸を打たれる。


※Youtubeでオプトロンを演奏する映像を見つけた

角田俊也氏の作品

近年は「こめかみ録音」に取り組んでいるという同氏の作品。
フィールド録音をLとRの2つのスピーカーを通し再生すると同時に、眼前に写真作品を展示している。
視覚と聴覚のそれぞれは、異なるプロセスで、また異なる空間の性質を把握するが、この2つの情報を可能な限り同レベルまで引き上げ、そして1つのレイヤーに統合させようと試みることで、
対象の空間をより客観視させようと試みる(のかもしれない)

大学時代、私も授業の一環で、研究の一環でフィールド録音を行っていた。
その時に感じたこと、音にはバリエーションがありすぎることだった。
「綺麗な水の音を録音したい!」と思って水場に行って録音しても違う。
トイレに行って、様々なレバーを押しては録音してみたけどこれも違う。
水が流れる方向、蛇口からタイルまでの距離、タイルの角度、水量、
どれを変えても音が変わってしまうのだ。それは高価なレコーダーで録音し、
モニタリング用のヘッドフォンを通すと、より顕著だった。

視聴を続けると、これはトイレの水だな、とかわかってきてしまうのだ。
他にもガラスが割れる音を録音する為に、そこかで拾ったガラスを、
研究室でパリンパリン割ったりしてみても、音の違いに驚いた。
ガラス材の構造、厚み、叩き付ける材質、速度、角度、全て違う表情を見せる。
意識していないだけで、集中するだけで微小な音の違いに気付く。

会場内には同氏の過去音源を視聴できるコーナーがあり、数枚ほど視聴した。
ブックレットには写真とタイトルがプリントされていて、
それらから録音場所がある程度推察できる。中には地図が挟まっていて、
トラック名が地図上に書き込まれているものもあった。

視覚障害者、また視覚に関する書籍を読んでいたことから思うのだけど、
目が見えない方々にとっては、これらの音源はどのように聴こえるのか、
いや、どのように見えるのか。

それは、視覚情報を手に入れるに苦労しない、私たちにも朧げだとしても、
見えるはずなのだ、私でさえ体験した。

「音」に「情報」にまつわる作品を制作されるお二方の展示会、
興味深かったけど、やはり、どうしても「展示会」には最適とはいい難い。
特に角田氏はステートメントで、自身の作品はその性質上、
展示会では消極的と捉えられてしまうことは避けられないと記述されていた。
そういう作品である以上、仕方がない。それでも興味深い。
伊東氏の作品もライブパフォーマンスがどうしても気になってくる。

しかし、興味深い。
我々の日常生活に馴染みすぎている「音」というテーマ。
こうして、真摯に取組んでおられる方がいるから、
ふと昔を思い出すことができた。

このギャラリー、空間も好きだけど、
展示会のセレクトも好きだなぁ。

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