瀬戸内の旅#3

5日目

直島から豊島を経由し、犬島へフェリーで移動。人口約50人ほどの小島。港脇に備えられたフェリーの待合室はコンクリブロック造り。三つの灰皿と自販機、そして住民たちの私物が置かれていた。こういうものを見るのがとても楽しい。地方へ旅行に出たときは、喫煙所探しをする。都心と比較すると喫煙所の数は多く、様々なタイプの灰皿に出会える。缶詰の灰皿はメジャーだ。

さて犬島精錬所美術館(銅製錬所の遺構を保存・再生した美術館)は、施設自体は見物だったけど、作品は味気無い。三島由紀夫をモチーフにした作品を通じて、日本社会への問い掛ける…ってのはこの土地、この立地でやるべきなのかと強烈な違和感。解説が圧倒的に不足。近代化産業遺産もワクワクするビジュアルだが、観光化に際して安全確保を目的とし、過剰に整備されたことにより、作り物感が漂う。修繕の意図も必要性も理解できるが、やはり残念。小高い山を上っている最中に蛇さんと出会う。頂上では半壊している煙突を眺めたが、そうそう、これこれ。しかし、めっちゃ危ない。

その後、島内に散らばるアートスポット「家プロジェクト」を鑑賞。しかし、名和晃平も荒神明香も下平千夏もオラファー・エリアソンも淺井裕介も既視感ある、既知の作品群。土地や歴史との積極的な接続の意志は感じられず。装置を持ち寄ったと表現するのが適切か。それより至る所でぶくぶく泡を吹くカニさんに夢中になり、海に足を浸す。

近くのカフェでカレーを食べ、フェリーで岡山へ移動する。バスが来るまで、近くの海水浴場で海に浸る。漁師が道具のサビを削り落としている漁港の近く、巨大な海の家が解体されている真っ最中だった。誰もいなかった。
砂浜に半分埋まっていたブロックを掘り出して即席の椅子にした。グリーンのビーチパラソルが波に揺られていたので、拾い上げて、砂に突き刺した。簡易的なバカンスを始める。さつかわ氏は砂浜に拾った棒で落書きをしていた。

今回の旅行先のどこよりも、カニさんを多く見かけた。近寄ると身寄りの石垣に身体を隠そうとする。その後、饒舌な運転手が運転するバスに乗り、最寄り駅まで移動。こちらの方面はまだ駅構内に喫煙所が残っているのですね。

岡山駅で駅弁を購入し、4時間くらい揺られて帰宅。
以上、旅の終わりである。一切お土産は買わなかった。持ち帰ったのは浜辺で拾った貝殻と石と小枝である。あとは記憶。それでいいのだ。

おわり