本当ですか?

【溺れる】という単語を辞書で引く。「水の中で泳いだり、浮かんだりできなくなる。また死ぬ。」とある。この解説に則ると、水中にいる生き物が、望むように行動できなくなることが【溺れる】という状態である。つまり、溺れるていることを正確に判断できるのは、当事者に限定される。端から見ている人間に「楽しそうに手を振ってるぜ」なんて言われる場合、観察者からしたら「溺れていない」わけである。認識の相違がクリティカルなパターン。

足が底につくくらいの浅い川で溺れる描写が、漫画やアニメでも観察される。「足がつくんだから溺れないでしょ」という観察者側の評価は、大抵の場合は正しい。しかし、人間はシチュエーションさえ整えば、膝丈の水位でもコップ一杯の水でも死ねる。実際に介護の現場では少量のお湯をはった風呂での死亡例も多数ある。実験をするでもなく、想像は容易だというのに。

そんな安全側の予測を見誤る人々に向け、事故を未然に防ごうと、責任を果たそうと、エレベータやエスカレータ、加工食品やおもちゃなど、至る所にあらゆる注意文が記されている。中には、明記した意図が読めないものもある。

トップ製菓の商品「恐怖の心霊写真ガム」には、ソーダ味のガムのおまけに、心霊写真がついてくる。が、パッケージにはこんな予防線が張られている。

「おまけは本物の心霊写真ではありません」

さぁ、何を回避しようとしているか、想像しよう。